座間市 様
財務・文書を同一決裁基盤に統合、内部事務DXが生んだ効果
導入の背景と効果
課題
- テレワーク制度はあるものの決裁は紙のままで、管理職を中心にテレワークが難しい状況だった
- 現行システムを前提に調達をすると、要件の肥大やコストの増加、従来の運用を維持するための業務が新たに発生する可能性があった
目的
- 決裁に関わる一連のシステムを刷新・電子化し、ペーパーレスとテレワークを促進する
- 従来の業務の進め方に囚われないよう、ノンカスタマイズ前提で業務目的を見直す工夫を取り入れる
効果
- 紙という物理的な制約がなくなり、電子決裁や文書検索など、テレワークしやすい業務環境が実現
- 会議の合間などの隙間時間を有効活用できるようになり、組織を横断した業務プロセス全体のリードタイムが短縮
- システム上で進捗が可視化され、状況確認・管理といった付帯業務が減り、本来業務により注力できるようになった
神奈川県座間市は、人口約13万人の自治体です。
夏には約55万本のひまわりが咲く「ひまわりまつり」で知られる一方で、庁内では多くの自治体と同様に紙の回付や書庫での保管に加え、紙決裁がテレワークのハードルになるといった課題を抱えていました。
そこで座間市は、文書と財務を「同一の決裁基盤」と捉え、財務会計システムと文書管理システムを一体で刷新することにしました。制度や運用まで含めて業務の進め方そのものを再設計し、定着までを見据えて進めた結果、ペーパーレス化とテレワークに適した業務環境を実現しています。成功の鍵は、ノンカスタマイズを前提に、業務の目的や本質を問い直した姿勢にありました。
本事業について、担当の皆さまにお話を伺いました。
座間市 総合政策部 デジタル推進課 課長 澤田 卓巳 様
座間市 総合政策部 デジタル推進課 システム管理係 係長 奥村 和哉 様
座間市 総合政策部 総合政策課 企画調整係 主任 美濃部 憲 様
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「FAST財務会計」全国導入事例集
システム導入前の課題
システム刷新の検討を開始したきっかけを教えてください。
澤田様:座間市では、コロナ禍をきっかけにテレワーク制度の検討が始まりましたが、運用の未整備により「紙決裁では、在宅ワークができない」という声が管理職から上がり、本格的な文書管理システム導入検討を開始しました。
財務会計システム刷新も同時に検討した理由をお伺いできますか?
澤田様:紙の伝票が多く、文書管理システムと財務会計システムの双方を連携させ、業務全体の効率化を図りたいという考えもありました。
決裁を紙から電子に切り替えるには、文書管理システムを入れるだけでは不十分です。財務などの他の業務システムともつながって、はじめて手続き全体が電子で完結します。
そういった理由から、文書管理システムの導入と合わせて、財務会計システムもこのタイミングで最適なものを選ぶことにしました。
システム刷新を庁内でご提案された際、どのような反応がありましたか?
澤田様:各課にシステム刷新の参加を呼びかけたところ、複数の課から前向きな反応をもらうことができました。
全庁的な期待としては、文書を保管する場所の確保に関する課題の改善や、審査時に添付書類を探す手間の削減などが上がりました。
システム刷新で、とりわけ効果が大きいと見込んでいた部署や業務があれば教えてください。
澤田様:特に影響が大きいと見込んだのは、会計課です。会計審査など紙での業務が多く、改善効果が大きいと想定しました。
財務会計業務については、テレワーク活用促進の観点で効果が出ることを見込みました。契約関連業務においても、当時契約管理をExcelで行っていたので、システムでの管理にすることで業務効率の向上を見込みました。
ノンカスタマイズの実現に向けた工夫
調達や導入にあたり、注力されたポイントはありますか?
澤田様:数十年同じシステムを使い続け、業務内容も大きく変わっていなかったため、業務の目的そのものが意識されにくく、手順を守ることに意識が向きがちだと感じていました。
そのため、「カスタマイズは行わず、導入するシステムの標準仕様に運用を合わせる」という方針を徹底して共有しました。
また、調達・導入にあたっては、現行システムを前提にした検討にならないよう意識しました。
今の業務手順をそのまま新システムに移すのではなく、業務の目的に立ち返って検討できるよう、デジタル推進課としても伴走しながら支援しました。
具体的な取り組みをいくつかお伺いできますか?
澤田様:財務会計・文書管理システムの要件は検討会で各課に洗い出してもらい、私たちも同席して「カスタマイズは原則行わず、標準仕様に合わせて業務側で工夫してほしい」という方針を繰り返し共有しました。あわせて、カスタマイズを求める声が出た場合も、標準機能の活用や運用の見直しで代替できないかを担当課とともに検討しました。
また、導入時には、あえてデジタル推進課では操作マニュアルを作成せず、業務の本質を改めて見直すことを通じて、各課が業務の目的や法的根拠を考えるきっかけにしました。
これらの取り組みにあわせて、十年来見直していなかった規則も改定し、標準機能の活用やBPRにつながるよう環境を整えました。
長年の運用を見直すにあたり、不安や懸念の声はあがりませんでしたか?
奥村様:不安の声は全くなかったわけではないです。ですが、会話で解決できる程度だったかと思います。ノンカスタマイズ方針のもと、標準仕様に照らし合わせながら要件検討を進めました。
不安の解消策としては、デジタル推進課に寄せられる質問をまとめた操作QA集を作成して庁内に発信したほか、各課からの要望に対して適宜代案を検討するなどして対応しました。
また、設定調整・帳票レイアウト調整の範囲内では、旧来の名称や帳票形式を踏襲することを採用するなど、柔軟に対応することも心がけていました。
当社ジャパンシステムを選定いただいた決め手
当社の提案を最初にご覧になった際の印象をお聞かせください
澤田様:RFIや提案を通じて、複数のベンダーさんとやり取りをさせていただき、提案内容の良し悪しはもちろんですが、こちらの意図を汲み取り、信頼できるコミュニケーションが取れるかどうかも重視し、総合的に判断しました。
また、こちらの要件をそのまま受け入れるだけでは、結果としてカスタマイズが増え、コストにもつながりやすくなります。そのため、機能の充実度に加えて、私たちの業務や制約に合うよう代替案を提示し、粘り強く伴走していただいた点が、今回のジャパンシステムの評価につながったと考えています。
導入後の感想を教えてください
澤田様:本事業では、ジャパンシステムが代表ベンダーとなり、財務会計システムはジャパンシステムの「FAST財務会計」、文書管理システムはシナジー社の「ActiveCity文書管理システム」製品を導入しました。
「餅は餅屋」という言葉のとおり、それぞれ得意分野の会社に任せられたことで、最適な形で導入できたと感じています。
「FAST財務会計」については、中規模自治体における導入実績を伺い、財務会計の領域に非常に特化している印象でした。実際に使ってみて、FASTは本当によくできたシステムだと実感しています。
文書管理システムについては、やはりシナジー社さんが非常に詳しく、法的な根拠も添えて説明してくださったので、初めての決裁の電子化を安心して導入を進めることができました。
提案体制についてはいかがでしたか?
奥村様:導入時も導入後も、一貫してフロントがジャパンシステムというのはありがたいです。バックアップ体制にも満足しています。運用開始から1年が経過した現在は、正直2社体制であることを意識しないほどうまく連携いただいているなという印象です。
文書・財務どちらの不具合か分からない場面があっても、ジャパンシステムが窓口となりシナジーへ橋渡ししてくれる。一体的に対応してくれるため、実務上は2社体制を意識することはほぼなく、負担は感じないですね。
導入後の効果と職員の意識変化
システムを導入してみて、まず実感された業務や働き方の変化を教えてください
奥村様:まず、一番大きな変化はペーパーレスの効果ですね。財務と文書の決裁基盤を1つにまとめたことで文書の数が大幅に削減され、デジタル推進課では、現在デスク上のバインダーはゼロ、キャビネットも2つ処分しました。
全庁的にも、各課のデスク周りの紙やバインダーの量がかなり減ったと思います。紙文書の保管場所については、文書の5年保管期限が満了するタイミングで、より効果が実感できるだろうと期待しています。

袖机やバインダーのない、デジタル推進課の様子。課長席も撤廃し、フリーアドレスを採用
デジタル推進課として感じている変化はありますか?
奥村様:テレワークについては、正確な数値でお答えするのは難しいのですが、これまでテレワークを利用していなかった管理職を含め、職員の利用が広がっている様子が見受けられます。
また庁内でも、会議の合間に財務会計システムを使用したり文書管理システムを開いて決裁を進めている職員を多く見かけます。紙と比べて場所を問わず承認できるため、利便性は大きく向上していると感じています。
導入直後は問い合わせが一定数ありましたが、現在はデジタル推進課への問い合わせはほぼゼロです。知らせがないのがよい知らせといいますか、基本的には各課内でうまく運用してくれている様子ですね。
美濃部様は、実際にシステムを使う部署へ異動されたと伺いました
美濃部様:はい。私はデジタル推進課を離れ現在は実務側としてFAST財務会計を利用していますが、「本当に使いやすい」と実感しています。これまでExcelで行っていた契約管理をFAST財務会計で一元管理できるようになり、予算から契約、支出までの流れを一気通貫で把握できるようになったのは大きな改善ですね。
また、電子化によって決裁のボールを誰が持っているかが可視化されたことも大きなメリットです。 加えて、文書の保管場所が統一され、検索しやすくなったことで、「探す」、「人に聞いて回る」といった周辺業務が減りました。その結果、職員一人ひとりの業務効率が大きく向上したと感じています。
今後の展望と他自治体へのアドバイス
今後についてお考えがあればお伺いさせてください
澤田様:今後については、文書管理システムに電子契約機能の追加を検討しています。電子請求についても前々から議題には上がっていますが、事業者の方々への影響を鑑みて、慎重に検討すべきだと考えています。
最後に、同様の課題を抱える自治体へのメッセージをお願いします。
奥村様:内部事務システムの刷新では、文書管理システムのみなど部分的な導入・更新にとどまると、既存の業務の考え方が前提となり、無意識にそちらに引っ張られやすくなります。その結果、組織をまたぐ決裁を効率的に電子的に行うといった新しい仕組みの導入が、思うように進まなくなると感じています。
実務の流れに合わせて、どことどこが繋がると一番効率化されるか、どこが電子になると一番効果が大きいか、などを考えながら検討できるとよいかと思います。
そのためにも、内部事務システムを刷新する際には、DX推進部門などが「第三者視点」として入り、目標がずれていないようにサポートしつつ、連携して進めてゆくのがよいと思います。
まずはご相談ください
- ・担当の業務・運用にフィットするかわからない
- ・課題整理の進め方・調達範囲の検討に迷っている
- ・業務の現状整理・実証実験からはじめたい
検討の初期段階から、お気軽にご相談可能です。
有識者や総務省アドバイザー登録者など、お悩みに適したメンバーがお話を伺います。